所有せざる人々

所有せざる人々 (ハヤカワ文庫SF)

所有せざる人々 (ハヤカワ文庫SF)

現代文明と相反する世界を描くことで批判をやるのはよくある手法で、この傑作もあらすじだけを読むとその手の作品のように見える。しかしそれは本質ではない。これは、一人の男が『時を一つの完全なものに結合させる』までをたどる物語であり、その過程にこそ価値がある。なぜなら物語の構造がそのものが、中心テーマである『同時性理論』を模っているからだ。始点と終点は最初から定まっている。男の誠実さが、それらを繋げるのだ。

★★★★★