火星年代記

火星年代記 (ハヤカワ文庫SF)

火星年代記 (ハヤカワ文庫SF)

ブラッドベリの描く火星はノスタルジーの象徴であって、未来のガジェットではない。ほとんどの場合、それは「かつて地球に存在した懐かしい風景」という使われ方をする。どれだけ時間が経っても人間は変わらず、歴史は繰り返す、多分そういうことだろう。

年代記の名の通り、火星を舞台にした長いスパンのお話だ。通しで読むという読書体験があってこそ、最後の「百万年ピクニック」で深い感動を得ることができる。各エピソードは長さもジャンルも様々で(たった1ページしかない掌編もある)、メリハリがあって退屈はしない。

ハヤカワSFから出た新版は文字が大きく、訳も平易で読みやすい。とにかく完成度の高い短編集で、誰にでも安心しておすすめできる。

★★★★