虎よ、虎よ!

虎よ、虎よ! (ハヤカワ文庫 SF ヘ 1-2)

虎よ、虎よ! (ハヤカワ文庫 SF ヘ 1-2)

本当に好きな作品であるほど、説明する言葉に困る(ここに載せた作品全部が、そうと言えばそうなのだけど)。何について語ればいいのか、どうすればこの傑作を手にとってもらえるのか。

まず一つ言えるのは、この小説はスタートダッシュの時点ですでに最高だということだ。冒頭の「ジョウント」に関する解説、それによる世界の変貌は、決して長くはないけれど、この小説の圧倒的なパワーを読者に知らしめるに十分だ。物語は宇宙空間に漂う、幅1メートル20センチ、高さ2メート70センチのロッカーの中で始まる。主人公はこの狭い気密室で170日間も遭難してきた。長すぎる忍耐の末、ついに宇宙船が彼を発見するが、その船は彼を見捨てて姿を消してしまう。

想像しうるかぎり最悪の状況。そして主人公は、そこから神がかった機転で生還するのである。その時点でたったの30ページ、そして驚くべきことに、この小説はその密度がずっと続くのである。

★★★★★