銀河市民

銀河市民 (ハヤカワ名作セレクション ハヤカワ文庫SF)

ハインライン作品のテーマは本当に毎回毎回同じで、そのぶれのなさを自分は好ましく感じている。そのテーマというのは早い話が「大人として成熟しろ!」ということなのだけど、この大人という単語には実に多くの意味が含まれている。

「銀河市民」の主人公は少年であり、成長の過程がそのままストーリーとなっているため、テーマそのものと相性がいい。ハインラインの思想がどんなものなのかを理解するにはうってつけである。もともと青少年向けに書かれたものだからハードな描写はないし、娯楽性も高い。ハインラインの著作はどれも抜群に読みやすいので、「銀河市民」が格別に易しいわけではないけど、入門に向いた作品であることは確かだ。

物語は大きく3つのパートに分かれる。SFとして面白いのは圧倒的に自由商人編で、この作品で最も魅力的な部分だと思う。銀河系を飛び回るスケールの大きさ、他種族とのユニークな交易の様子、閉鎖空間における社会制度の緻密さなど、どれも興味深い。

★★★★★